相続人の確定(戸籍の収集作業について)
相続人の確定
被相続人の遺産の内、誰が何を取得するのかを決める協議(遺産分割協議)や、その他の手続きの前提として、誰が相続人になるのかを確定させる必要があります。ご家族の方は、誰が相続人なのかを当然把握されていることとは思いますが、対外的な手続きに際しては、金融機関や法務局等に対して、誰が相続人なのかを客観的に証明しなければなりません。
具体的には、被相続人の出生からお亡くなりになるまでの戸籍(除籍や原戸籍も)を取得し、相続人を確定することになります。
被相続人の戸籍を集める理由
具体的なケースで考えてみます。
(1) 被相続人A(本籍:板橋区)が昭和60年1月にBと結婚。
(2) 昭和61年に子どもCが生まれた
(3) 平成2年にAとBが離婚。子どもCは、Bの戸籍に入った
(4) 平成3年にAが、板橋区から新座市に転籍
(5) 平成4年にAがDと再婚、その後子どもFが生まれた。
(6) 平成24年にAが亡くなった。
このケースにおいては、被相続人の最後の戸籍をとったとしても、Bと婚姻していたという情報は載ってきません。これは、離婚の事実(過去の配偶者)等、現在効力を有しない事項は、転籍後の戸籍には記載されないからです。そのため、上記のケースにおいては、板橋区で戸籍を取得して初めてCの存在がわかることになります。
このように、ごく稀ではありますが、相続人の確定作業においては、ご家族の方でさえ知らない相続人が登場することがあります。
上記の例では、まず新座市で戸籍を取得し、その後、転籍前の板橋区でも戸籍を取得することになります。
集める戸籍の範囲
各種相続手続きにおいて必要な戸籍については、原則として@被相続人の出生から死亡するまでの戸籍とA相続人の現在の戸籍となります。
ただし、代襲相続や、被相続人が亡くなった後に亡くなった相続人がいる場合には、それらの人の出生から死亡までの戸籍も収集する必要があります。そのため、ケースによっては戸籍の収集だけで非常に手間がかかってしまうということもあるでしょう。